※2018年〜2019年(イギリスはEU離脱前)の情報です。
Mirë dita!こんにちは。
日本は最近もう涼しくなってきたという噂を聞きますが、ここバルカン諸国は昼間は毎日30℃くらい。
まだまだ暑いです。毎日アイスが必須です。
今月、私はフランス(+モナコ)→イタリア→ スロベニア→クロアチア(+ボスニアヘルツェゴビナ)→モンテネグロ→アルバニアと移動してきました。
この辺りの国は、EUだったりEUじゃなかったり、シェンゲン領域に含まれたり含まれなかったり。
通貨もまちまちでかなりややこしいので、ちょっとまとめてみました。
私のこれらの国の出入国体験とともにご紹介します。
EU・シェンゲン・ユーロ、何が違うの?
詳しい定義や成り立ちについては長くなるので省きます。
ヨーロッパを旅する上で知っておきたい最低限のことだけまとめました。
EUとは
欧州連合(European Union)の略です。 一昨年、イギリスの離脱が決まって話題になったアレです。
ヒト・モノ・カネの移動が自由にできるような大きな1つの国、と思ってもらえればわかりやすいのですが、
実際には、EUの中には一部移動に制限があったり、通貨が違ったり、という国がいくつかあるのです。
2018年現在のEU加盟国は28ヶ国で、最初は6ヶ国からはじまり、現在も増えつづけています。
これもどこがEUなのかがわかりずらい要因の一つだと思います。
ちなみに私が今いるアルバニアは加盟“候補国”で、数年後には加盟するのでは、と言われています。
シェンゲン圏とは
シェンゲン協定という、国境の出入りを自由にしますよ〜という協定が適用されている国々(領域)のこと。
基本的にEU加盟国は適用が義務づけられているのですが、最近EUに加盟した国の中にはまだ適用されていない国がいくつかあります。
反対にEUには加盟しないけどシェンゲンには参加するよ!という国もあったり。
実はこのシェンゲン協定が、ヨーロッパを長期間旅する上で一番のネックなのです。
日本のパスポートを持っている場合、シェンゲン圏への入域はビザが免除されます。
しかしこのビザ免除というのは観光などを目的とする短期滞在のみで、
「あらゆる180日の期間内で最大90日間」と定められています。
詳しい要件は 欧州諸国を訪問する方へ | 外務省を読んでみてください。
EUとはで説明したように、大きな1つの国、とみなされるので、国を移動しようがそれがシェンゲンエリア内であれば90日というのがカウントされ続けます。
私は90日以上このシェンゲンエリアに滞在したかったので、デンマークのワーキングホリデービザを取得しました。
逆に言えば、加盟国のどこかしらのビザを持っていれば、シェンゲンエリア内は行き来自由なのです。
(在留資格はその国のみに適用されるので、私の場合デンマーク以外での就労はできません。)
ユーロとは
ユーロは、EU加盟国で主に使われているお金の単位です。
しかしこれまたEUなのに独自の通貨を利用している国が結構あります。
これもいつユーロに変わるかわからないので、下手に余ったお金を取っておいても数年後には使えなくなっているかもしれません。
逆にまだEUに加盟していないのに法定通貨がユーロだったりする国もあります。
実際の入出国審査はどんな感じ?
シェンゲン圏内の移動
基本的にノーチェックです。
パスポートを提示することもありますが、身分証の意味合いが大きく、名前と顔写真を見るだけの場合がほとんどです。
ですが今月、フランスのニースからスロベニアのリュブリャナまで夜行バスで移動した際に、スロベニア国境でパスポートの入国スタンプのチェックがありました。
スロベニア警察のおじさんが、1ページづつスタンプをチェックし始めたのです。
私が最後にパスポートスタンプを押されたのは、昨年の12月。とっくに90日なんて超えています。
おや?という顔をされたので慌てて居住許可カードを提示し、事なきを得ました。
チェックされないからと高を括って日数オーバーするのはおすすめしません。
2019年1月追記
デンマーク国境も比較的厳しめです。
ID(居住カードなど)だけではダメで、パスポートもしっかりチェックされます。
日帰りでスウェーデンに行くのにパスポートを忘れた友人(アメリカ人)はデンマークを出国できなかった(旅行を諦めることになった)そうです。
“事実上のシェンゲン圏”モナコ
ちなみにニース滞在中には日帰りでモナコに行ったのですが、パスポートをホステルに忘れました。
こちらは実はEUでもシェンゲン圏でもないのですが、何の問題もありませんでした。(マネしちゃダメですよ。パスポートは常に身につけておきましょう。)
シェンゲン圏→EU加盟国(非シェンゲン)
スロベニアからクロアチアに入国したときがこれでした。
スロベニアはこの非シェンゲン国と接していることもあり、検査が厳しいようです。
一方のクロアチアはゆるゆる。バスが着いたときに担当の人がいなかったらしく、しばらく待たされた挙句、電話しながら、新しいページに、ナナメにスタンプ押されました…。
2019年1月追記
フランス↔︎イギリスもこれにあたります。
イギリスは入国審査が厳しいのが有名です。
スロベニア↔︎クロアチアとは逆パターンで、フランス側の入出国はほぼノーチェックでした。
スタンプもイギリス入国しか押されませんでした。(フランス出入国、イギリス出国はスタンプなし)
イギリスの入出国の様子はこちら。
EU加盟国(非シェンゲン)→非EU加盟国
以前の記事でも説明しましたが、
クロアチアの国土は、一部EU非加盟国のボスニアヘルツェゴビナによって分断されています。
しかしこの国境がほぼノーチェック。
この二国間の国境をバスとミニバンで計8回通ったのですが、
ボスニア側のスタンプはゼロ、クロアチア側は押されたり押されなかったりで(押すときは決まって新しいページにナナメに押してくるクロアチア…)、
パスポートの提示さえしなかったときもありました。
おそらく、この国境が強化されない限りクロアチアがシェンゲンに入ることはない気がします。
もしくはボスニアヘルツェゴビナがEUに加盟すれば、まとめてシェンゲン圏になるかもしれませんね。
非EU加盟国→シェンゲン圏
日本から最初にシェンゲン圏に入るときなどがこれにあたります。
ここを通過すればその後シェンゲン圏内は移動し放題ということもあり、一般的には審査が厳しいと言われています。
まあ日本人でツアーなどでの通過であれば、細かく突っ込まれるということはほとんどないでしょう。
私は昨年の12月にフィンランドに入国したときが初めて1人きりでのシェンゲン圏への入域検査だったのですが、聞かれたのは
- フィンランドでの行動予定
- いつまで滞在するか
だけでした。
デンマークに長期滞在する、ということは聞かれなかったので言っていません。聞かれなかったので…。1月頭には日本に帰る、という体で入国してしまいました。
ただ、隣にいた韓国人グループはパスポートカバーを外せ、とかイタリアに行くならそのチケットは?とか言われ、みんな英語がわからないようでかなりゴタゴタしていましたので、スムーズに質問に答えるというのが大事かもしれません。
実は来週、2度目のシェンゲン圏外→シェンゲン圏内の出入国があります。
今回は、もしビザなしだったら滞在日数を余裕でオーバーしたパスポートを持っての入域です。
無事入域できたら(できなきゃ困る)ここを更新しますね。
2018年10月追記
アルバニア→イタリアの入国審査はスタンプの日付をチェックされることも、何か質問されることもなく滞在許可証を見せることすらなく無事に終わりました。
アルバニア→イタリアの出入国の様子はこちら。
EU・シェンゲン・ユーロの一覧まとめ
シェンゲン圏は実質全部で30ヶ国
シェンゲン協定に加盟している国が26ヶ国と、出入国審査がないので実質加盟しているのと変わらない国が4ヶ国で合わせて30ヶ国。
デンマークのグリーンランドやフェロー諸島など、基本的に海外領土はシェンゲン圏の対象外です。
EUでシェンゲン圏でユーロの国
全部で17ヶ国。
- ベルギー
- ドイツ
- フランス
- ルクセンブルク
- オランダ
- スペイン
- ポルトガル
- イタリア
- オーストリア
- ギリシャ
- フィンランド
- エストニア
- リトアニア
- ラトビア
- マルタ
- スロバキア
- スロベニア
EUでシェンゲン圏だけどユーロじゃない国
全部で5ヶ国。
- デンマーク(デンマーククローネ)
- スウェーデン(スウェーデンクローナ)
- チェコ(チェココルナ)
- ハンガリー(フォリント)
- ポーランド(ズロチ)
EU非加盟だけどシェンゲン協定は適用される国
全部で4ヶ国
- アイスランド(アイスランドクローナ)
- ノルウェー(ノルウェークローネ)
- スイス(スイスフラン)
- リヒテンシュタイン(スイスフラン)
実質シェンゲン扱い(出入国審査がない)のユーロ圏
国土の極めて小さい4ヶ国。
- アンドラ
- モナコ
- サンマリノ
- バチカン
EUだけどシェンゲン非適用の国は全部で6ヶ国
この5ヶ国は旅人的にはある意味ありがたい国々かもしれません(笑)。
ユーロ圏
2ヶ国。
- キプロス
- アイルランド
アイルランドはイギリスに国境を解放しているためシェンゲン非適用なようです。
非ユーロ圏
4ヶ国。
- イギリス(ポンド)
- ブルガリア(レフ)
- ルーマニア(ルーマニアレウ)
- クロアチア(クーナ)
ブルガリアとルーマニアは経済的な問題が大きいのかな…?
EUに認められていないのにユーロが法定通貨な2つの国
- モンテネグロ
- コソボ
外交や経済の問題は置いておいて、旅人としてはユーロが使えるのはありがたい限りです。
おわりに
こうみるとヨーロッパって広いし思ったより複雑ですね。
この情報がこれから旅に出る誰かのお役に立てば幸いです。